以上、膨大な量になったがこれが私なりの『サクラクエスト』回顧録である。
監督やプロデューサーらの立場で見るとまた違うだろうし私の記憶違いもあると思うが、それらは公式インタビュー等を参照して欲しい。
私としてはオリジナルで2クール、じっくり関わることが出来たのは僥倖である。
脚本を大事にしてくれる増井監督、ビジョンが明確でブレないJUMBO齋藤氏、そしてアニメ界ではレジェンド級のPA堀川社長。
錚々たるメンバーと仕事が出来たのもいい経験になった。
何よりPAワークスのアニメ制作能力の高さには驚くばかりだ。
キャラの細かい表情や仕草、背景の美しさ、作画の安定感、どれも一級品だと思う。
一度使った小ネタや設定をまた使ってくれる辺りにも作品愛を感じる。
アニメを作って終わりではなく、その後も植樹祭等のイベントを定期的に開催し、コンテンツを育てていこうとする姿勢も素晴らしい。特に今作品のテーマである「地方創生」は堀川社長自身のライフワークでもあり、思い入れの強さを感じた。
由乃らの前日譚を描いた小説『サクラクエスト エピソード・ゼロ』も電子書籍で発売となる。
私と横谷さんとで3本ずつ短編を書き下ろしたものだ。
アニメ本編を観て興味を持った人はそちらも是非お読み頂きたい。
あるいは小説からアニメに入るのもいいかも知れない。
決して派手な作品ではないが、一人ひとりのキャラを丁寧に描いた記憶に残る作品だと自負している。あまりピンと来なかった人も、数年後にもう一度観て欲しい。きっと人生の折々で刺さる部分もあると思う。
私にとっても想い出に残る作品となった。
監督をはじめ声を掛けて下さった横谷さん、プロデューサーの皆さん、スタッフおよびキャストの皆さん、本当にありがとうございました。
そして彼女らの旅を見届けて下さった視聴者の皆さま、またどこかで。