サクラクエスト

【廃校編】

第19話「霧のフォークロア」
第20話「聖夜のフェニックス」


前回の蕨矢集落編に引き続き、私の担当。
この話数はホントに死ぬほど苦労した。前回の出来が良すぎただけに、それを超えなきゃというプレッシャーもあった。いやそれ以上にこの題材をどう料理すればいいのかと途方に暮れたのだった。前回は早苗、今回は真希の総決算の意味合いがある。これに「廃校問題」をどう絡めるべきか。真希が東京から逃げてきた話と廃校の再利用がどう繋がるんだ?さらに父・巌との確執も解決しなければならない。

実写も含め、これまでのキャリアで最も苦労したと言っていいだろう。19話と20話それぞれプロットを含め10回以上は改稿している。オリジナルとはいえ尋常ではない回数である。
しかもプロデューサーや監督の具体的な指示を受けての直しではなく、「もっと違うアイディアを」とか「もっと別な切り口で」といった漠然とした感想なのである。毎回全く新しい話を生み出すようなものだ。

そうやって毎週毎週頭をひねって新たなアイディアや切り口で挑むも、「こういうことじゃないと思います」と否定される。そのうち何が面白いのか自分でも分からなくなってくる。悪循環である。前回の絶好調から一転、そこそこキャリアを積んできた自分がまさかこんなスランプに陥るとは。「次に否定されたらもう降りよう」というところまで追い詰められていた。ギリギリその稿でゴーサインが出たわけだが、自分としては引き出しの中も全てすっからかんになるほどの消耗戦だった。

どれだけの紆余曲折があったか知ってもらうため、最初期のメモを掲載する。

『サクラクエスト』第19話&20話メモ(2016/11/24)

<概要>
 真希編。祭具の一つ、楽太鼓を求めて廃校へ。真希はいよいよ父と向き合い、これからの生き方に結論を出す。
 由乃は廃校の再利用について模索するが、結局失敗する。

<ゲストキャラ>
緑川巌(55)……真希の父。間野山西小学校教頭。
澤野萌……女優。真希の後輩。

<アイディアメモ>
○祭具の情報ゲット、楽太鼓は小学校にあるとのこと。
 早速、小学校へ向かう由乃ら。が、真希の姿はない。演出家・黒瀬亮太郎のワークショップを受けに東京へ行っているのだ。
 教頭である巌に相談する由乃ら。怖いと思っていたが意外とそうでもない。ただいかにも教師らしく、生徒にも誰にでもすぐ「理由を言いなさい」と訊くのが口癖らしい。
 巌の許可を得て校内を探すが、楽太鼓は見つからず。放課後にドンドコ倶楽部の子どもたちが練習している。そのうちの一人の子がどうも練習に身が入らない様子。「太鼓が嫌いなのか?理由を言いなさい」と問う巌に対し、ふてくされた態度で去っていく少年。

○そんな折、真希が戻ってくる。
 何故か一緒に萌までいる。二人でワークショップを受けた後、萌は休暇を取ってそのまま真希について来たのだった。
「せっかくのオフなんだからハワイとかもっと楽しいとこ行けばいいのに」
「いえ、私こないだのロケで間野山が気に入りました。それに真希先輩の生まれ育った町をもっと見てみたくて!」
 黒瀬はワークショップ参加者の中から来年の帝国劇場での舞台の主演女優を選ぶつもりらしい。その結果は2、3日中には分かるという。
「それまでは間野山でのんびりさせてもらいますね!」
「てかあんた、どこに泊まるつもりなの?ここ、宿なんかないよ」
 そうこうしているうちにとうとう巌と鉢合わせしてしまう真希。
「おう、久しぶりだな。元気か?」
「うん、まあね」
気まずいかと思いきや、意外と普通に会話している。この二人の確執は一体何なのだろう。

○実行委員会立ち上げ?
 時期的にそろそろ祭りの実行委員会を立ち上げなければならないか。自ずとそれぞれの役割は決まってくる。
由乃……全体のまとめ役
しおり……予算管理
早苗……広報(彫刻がらみで神輿の件も)
真希……踊りの振り付け、台本作成
凛々子……龍の唄、記録係
 真希は間野山踊りを子どもたちに教える(※この子どもたちは志願制?全員強制?)。伝統の復活はいいが、昔からのものをただ伝えるだけでいいのかと疑問が生じる。祭りが徐々に廃れていき、丑松の一件でついに開催すらされなくなったのは、祭りそのものがもはや形骸化していたからではないか?と「更新」について考え始める真希。
 子どもに好かれる萌が勝手に踊りを教える。ブルガリアに古くから伝わる「ホロ」という踊り。みんなで手を繋ぎ、輪になって五穀豊穣を祝うというもの。オスマン帝国の支配から村を守るという意味も込められているという。
「私、小さい頃お父さんの仕事でブルガリアに住んでたんです」
 意外と子どもたちも楽しそう。丑松辺りは「勝手に妙な踊りを組み込むな」などと怒りそうだが、こういった外部の要素も大いに取り込んでいってもいいのではないかと真希は思い始める。舞台全体のうち一部だけこのようなパートを設け、そこは毎年自由に更新していいようにするとか。そうすれば参加する人たちのモチベーションもアップするのではないか。

○萌から巌のことを聞く真希。
 すっかり緑川家の面々と打ち解けて宿泊までさせてもらった萌。
「先輩のお父さんって先輩のこと大好きなんですね。『おでん探偵』全部録画してましたよ。あと雑誌の切り抜きなんかも」
 それを聞くと余計に辛い真希。これからどうしたものか……。

○祭具はもう一つの小学校にあるかも、という情報。
 今は廃校になっている間野山東小学校。一刻も早く見つけ出そうと、夕刻から廃校へ向かう由乃ら。
 別件で動いていた真希にはメールで伝えておいたが、時間になっても現れない。実は早苗が誤って「間野山西小学校に5時ね」と書いてしまった、とか。
 廃校は心霊スポットとして知られている。祭具探しを開始した由乃ら4人は次々と怪現象に見舞われ、悲鳴を上げる。
 実はそこに住み着いているサンダルさんのせいだった、というオチ(※廃校なのでライフラインは止められているのでしょうか?寝泊まりは可能?)。

○一方の真希。
 時間通り小学校に来るも誰も現れない。あ、そういえば……と校庭の隅にある古びた体育倉庫のことを思い出す。そこにあるかも知れない、と向かう。
 かんぬきが既に外されており、戸を開けると目の前に巌が。
「キャーッ!びっくりしたー、何でこんなとこにいるのよ?」
「いや、そういえばここに昔、太鼓が移設されたという話を聞いた気がしてな。ちょっと探していたところだ」
 廃校になった東小学校からここ西小学校へ、楽太鼓も移されたらしい。とりあえず中へ入る二人。と、いきなり戸が閉じられ、かんぬきが下ろされる。
「え……何?閉じ込められちゃった……?」
 中に人がいるとは知らず、用務員が施錠して立ち去ってしまったのだった。さらに先ほど驚いて尻餅をついたせいで真希はケータイを落としてしまっていた。巌に至っては元々持っていない。
「仕方ないな。まあ明日は平日だ。朝まで待てば誰か気付くだろう」
 こうして父親と二人きりの夜を過ごすことになる真希。

○二人の会話(一案)。
 親に相談もなしに大学を辞めたことについて「理由を言いなさい」と巌。これから女優を続けるのかどうか、やめるのならその理由も言いなさい、と。
 ここで真希の感情が爆発する。真希は巌のその口癖が昔から大嫌いだったのだ。
「何でもかんでも自分の気持ちを正確に表現できるわけじゃないんだよ!ホントの自分がよく分かんない人間だっているの。国語のテストみたいに一言で言えるもんじゃないの、色んな気持ちが渦巻いてるんだよ、そういうの一個ずつ吐き出したくて見つめたくて、だから役者なんかやってるんだよ!」
 なるほど、自分は自分の期待だけで知らず知らず娘を追い詰めていたのか。先日のドンドコ倶楽部の少年もきっと同じタイプなのだろう。
「……いま、分かった。ちゃんと、分かった。すまんな」
 ようやく娘の気持ちを理解した父親。こうして真希と巌はひとまず和解する。

○翌朝。
 由乃らが助けに来る。ついでに祭具も発見(※一案あり)。朝の光を浴びつつ、巌が言う。
「今年の暮れは帰らないのか?」
 やや照れ笑いを浮かべつつ、真希が言う。
「理由を言いなさい」
 巌もその意を汲み、答える。
「一言では言えん。とにかく帰ってきなさい」
「……ま、考えとく」

○ワークショップの結果と萌の帰京。
 ここが最大の懸案。主演に選ばれたのは誰か。仮に萌だとして、それで真希が違う道を選ぶ理由にはならない。真希が選ばれたとすればなおさら。両方とも落選するのがベターか。

○気がつけば世間はクリスマス。
 わびしく寮でケーキを食べる由乃たちでエンド。

◆上手くまとまらず、すみません。どうして真希は女優の道を諦め、間野山でやっていこうと思うに至ったか。肝心な部分が自分の中で消化できていません。必要とされる喜びの方が優ったとか?

◆巌と真希について。元々演じることが大好きだった娘とそれを心から応援する父親。この関係がある以上、巌を何らかの障壁として登場させることが出来ず、あまりドラマとして機能していない気がしています。

◆由乃が廃校の再利用のため奔走する話にしようと思っていましたが、教育委員会を通さないと何も出来ないのと、宿泊施設に利用するのは金銭的にも即却下されるレベルなので、このネタで引っ張るのは難しい気がしてきました。由乃がどんな問題にぶつかり、成長していけばいいのか、ご相談させて下さい

<了>

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