消滅都市

消滅都市

人気ソーシャルゲームのアニメ化。
リリースから4年、「アニメ化したいソーシャルゲーム第1位」も獲得。満を持してのアニメ化である。
この栄えある作品にシリーズ構成および全話脚本という形で関わることが出来た。私にとって初のシリーズ構成である。いよいよ正念場だ、出世作にしてやる。万全の意気込みで作品に臨んだ。

噂には聞いていたが、ゲーム原作のアニメ化は想像以上に大変だった。単純に移植すればいいというものではない。ゲームとアニメは似て非なるもの、見せ方も盛り上げ方もまるで造りが違うのだ。
まずバトルはどうする?ずっとスクーターに乗ったままで画は保つの?スフィア取ったりするの?そもそもスクータージャンプするの?タマシイってぷかぷか浮かんでるものなの?そもそもタマシイって何?ロストって何?ストーリーはどこまでやるの?

まあざっと挙げただけでも解決すべき課題は山積なわけで。
これら一つ一つをホン打ちメンバーで議論していった。それはもう長く険しい旅だった。たった1クールの作品に対し10ヶ月はホン打ちをやっていたことになる。ただ幸いなことに、原作者であるWFSの下田翔大さんも毎回ホン打ちに参加して下さっていたので、その都度質問をすることが出来たのは有り難かった。というか下田さんはゲーム版とは異なるアニメ版『消滅都市』を作ろうと意気込んでおられたので、我々のアイディアを面白がってくれるし、自らもどんどん発信して下さった。その意味では、アニオリ成分多めといえど実質これはれっきとした公式作品だといえる。第一章ではいないはずのキキョウやスズナがレギュラーだったりするが、そもそも原作からしてパラレル要素満載なわけで、そういった点も楽しんでもらえると嬉しい。

色々分かりにくいところもあったかも知れないが、私としては全12話の物語として美しくまとめることが出来たなと思っている。ラストのユキとタクヤの「あの決断」も、当時としては画期的だった。元の世界には戻さない、戻せない。ロストが起きてからも人々は生き、新たな命も誕生した。時を戻せば、その命はなかったことになってしまう。だから私達は「今」を生きていく――。後に『アベンジャーズ/エンドゲーム』で同じようなモチーフが使われた時は快哉を叫んだものだ。

ホン打ちメンバーのことは戦友だと思っているが、ラストシーンを監督に改変されたことは未だに根に持っている。記憶を失っているはずのタクヤがユキのリボンを後生大事に持っているのも気持ち悪いし、現在軸のユキもリボンをつけているため二つになってしまっているのも説明がつかない。あの交差点の信号待ちでユキのことを認識できたのならば普通に声を掛ければいいだけなのに、変な棒にリボンを括り付けて去っていく心情もよく分からない。思い出したのかどうか曖昧な感じが切なくて良かったのに、台無しである。『幸福の黄色いハンカチ』をやろうとしたのは分かるが、それは私が第10話「決断」から仕込んである緑のカーテンで十分機能している。私にとっての黄色いハンカチはあの緑のカーテンなのである。改変するならせめて私に一言断ってからにして欲しかった。まあ拒否するけど。

珍しいことに、公式サイトでは私の全シナリオ決定稿がそのまま載っている。ラストシーンが元々はどうだったのか、興味ある方は見比べて頂きたい。
それから、完全オリジナルとなる過去編第9話「運命」は個人的に気に入っているのだが、唯一悔やまれるのが「子供、作ろう」のズッコケ台詞。さっきまで別れ話をしていた男女が言うわけない、涙ながらに抱き合うだけでいいじゃないですか、と何度言っても監督が絶対に入れたいと言うので渋々書いたものだ。なので決定稿にも載ってしまっている。私が書いたことになるんだろうな、これ。
とまあ監督に対して思うところは多々あるが、プロデューサーやWFS下田さん、スタッフやキャストには大いに感謝している。

ちなみに、オファーを頂いてからゲームを始めたのだがハマりにハマってしまい、半年でランク300に達していた。課金も随分したなあ……。

【スタッフ】
原作:消滅都市(WFS)
監督:宮 繁之
シリーズ構成・脚本:入江信吾
キャラクターデザイン:下谷智之
音楽:川井憲次
音楽制作:ポニーキャニオン
アニメーション制作:マッドハウス

【キャスト】
ユキ:花澤香菜
タクヤ:杉田智和
アキラ:中村悠一
ソウマ:朝井彩加
エイジ(研究者):新垣樽助
キキョウ:愛美
ギーク:西村太佑
ユミコ(リサーチャー):中恵光城
コウタ:高橋 信
タイヨウ:高橋英則
ツキ:今井麻美
スズナ:佐倉綾音
ヨシアキ:松岡禎丞
ツバサ:島﨑信長
ルイ:KENN
スミレ:日岡なつみ
ジャック:伊丸岡 篤
カナ:久保ユリカ
リョウコ:黒沢ともよ
ユウジ:鈴木崚汰
ケイゴ:てらそままさき
カイバラ:玄田哲章
ダイチ:津田健次郎

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