村上弘明さん主演のシリーズ第9弾にして最終作。
オーボエ奏者が演奏中に毒殺!?
美しき完全犯罪に警視庁の一匹狼・広瀬が挑む!
オーボエのリードに毒が塗られていたと広瀬はにらむが、オーボエ奏者は常に複数リードを用意しており、どれを使うかは当日の本番直前まで分からない。
いったい犯人はいつ、どうやって毒を仕込んだのか?
そして旋律に秘められた謎とは?
サスペンスでは珍しい音楽もの。
一度はやりたいと思ってずっと温めていたネタを惜しみなく投入した。
とよた真帆さん、田中美奈子さん。お二人とも美しくて華がある。
佐戸井けん太さん、大浦龍宇一さんは『釣り刑事』以来それぞれ二度目のお仕事。
川村ゆきえさんも『撮らないで下さい!!グラビアアイドル裏物語』でご一緒した。懐かしい。
あとさり気なく『SRサイタマノラッパー』のIKKU(駒木根隆介)が出演しているのも面白い。
また今回、音楽監修としてオーボエ奏者・下羽南さんに私からオファーをさせて頂いた。
以前から個人的に親交があり、いつかぜひ一緒に仕事がしたいと思っていたのだ。
オーボエのみならずほとんどの管楽器を演奏できるマルチプレイヤーであり、作曲家でもある。
シナリオ監修のほか、演奏指導、重要な鍵を握る劇中曲の作曲までして頂いた。
何という多才ぶり!本当に助かった。
下羽さんの方も「いい経験をさせてもらいました」と満足げで、こうやって人を繋ぐのはいいものだなと。
このようにキャストもスタッフも素晴らしく、内容も満足しているのだが、水を差すようなある出来事が。
毎度のことだがこのシリーズ、原作はほとんど無きに等しい(そもそも『刑事の証明』というタイトル自体存在しない)。
毎回モチーフの似た原作を森村作品から引っ張り出してきてPが後付けで原作表記にしているだけなのだ。
特に私が担当したパート6、8、9は純然たる私のオリジナルである。
なので「そろそろ原作ではなく原案表記にしてくれませんか」と俳優座のPにお願いし、向こうも承諾したはずだった。
それなのにクレジットには「原作:森村誠一『捜査線上のアリア』」とあるではないか。
原案表記どころか、そもそも読んだこともないんですけど。
百歩譲って、偉大なる森村先生の名を冠したシリーズの方が数字が取れるという実情はあるだろう。
だからこそこれまでは我慢していたのだが、今回ははっきりと約束を反故にされたわけだから看過できない。
こういう風潮はホントにどうにかしないといけない。
私がどんなに頑張ってオリジナルストーリーを紡いでも、世間からは「ああ原作ものね」としか思われないのだ。
この徒労感は半端じゃない。だったら『相棒』で使えば良かったとさえ思う。あっちは視聴者も脚本家の名前に注目してくれるし、ソフト化もされるので永久に形として残る。
愛される作品というのは、ひとえに視聴者に対して誠実であることだと思うのだ。
【出演】
広瀬和宏…村上弘明
那須恵一…加藤剛
高林久恵…とよた真帆
森島只仁…佐戸井けん太
緋野まどか…田中美奈子
河本美奈代…筒井真理子
藤浪修…松澤一之
杉崎 哲…大浦龍宇一
三浦和也…戸田昌宏
麻生菜々美…川村ゆきえ
後藤英治…駒木根隆介
今井直紀…河内 浩
佐野雄二…加藤 頼
門倉涼子…安藤聡海
磯部正昭…蔵本康文
三浦由妃…池田早紀
脚本:入江信吾 監督:伊藤寿浩