橙乃ままれ氏原作、人気WEB小説のアニメ化!
ゲームの世界に閉じ込められてしまったプレイヤー達の群像劇。
若い世代から熱烈な支持を受け、派生作品や二次創作も多数誕生している。
本編メインライターは根元歳三さん。
『黒子のバスケ』でご一緒したのが縁で、「今度やる作品で手伝ってもらえませんか?」とのオファーを頂いた。
とはいえ異世界ファンタジーものなんて未体験。オンラインRPGもやったことがない。
原作の膨大な情報量をどう処理すべきかといった不安も。
そもそもアニメはまだ一本しかやったことないのに大丈夫なのか?
そんな私に根元さんはこう仰った。
「一般視聴者に近い視点を持つライターさんが一人いると我々も客観的になれるので」
なるほど。
これで自分に求められている役割が理解できた。
打ち合わせでは開き直ったように質問攻めをした。
自分が理解できないものを視聴者にそのまま届けるわけにはいかない。
私なりに咀嚼して伝えなければ、と。
情報はただ伝えただけでは十分とは言えない。
話の流れの中で必然性を持たせなければ、視聴者の耳を右から左へ抜けていくだけ。
原作ではいくらでも説明できるが、尺の限られたアニメだとなかなかそうもいかない。
その過程で生まれた工夫の一つが、第7話「クレセントムーン」のヘンリエッタさんムスカ化ネタ。
後の盛り上がりのための繋ぎのような回なのだが、重要な情報をさり気なく伝えておく必要があった。
(※ネタバレご注意)
ゾーンは購入可能であること、ギルド所有のゾーンでは立ち入りの制限や戦闘の可否が個別に設定できるということ。
これが後のシロエの作戦において非常に重要なのだが、そのまま説明したらあからさまに伏線がバレてしまう。
だったらギャグシーンのように見せてさり気なく伝えてしまおう、というわけだ。
ヘンリエッタさんがムスカみたいにメガネを妖しく光らせ、
「どこへ行こうというのですかー?」とアカツキを追い回すアニメオリジナルシーン。
あれはそのためだったのだ。
他にも随所にこうした工夫が施されている。
情報はただ情報として流すのではなく、文脈の中で伝える。これ大事。
ライター陣や監修の桝田省治さん、石平監督らが打ち合わせを重ねてきた成果である。
おかげさまで、情報量は多いがすごく分かりやすいとの評価を頂いている。
この点だけでも私が参加した意義はあったかなと。
スタッフ&キャスト紹介(NHK公式サイトへ)
ログ・ホライズン第1シリーズ
第1話「大災害」脚本:根元歳三
第2話「ロカの遭遇戦」脚本:根元歳三
第3話「パルムの深き場所」脚本:根元歳三
第4話「脱出」脚本:根元歳三
第5話「アキバへの帰還」脚本:入江信吾
第6話「決意」脚本:大西信介
第7話「クレセントムーン」脚本:入江信吾
第8話「腹ぐろ眼鏡」脚本:大西信介
第9話「円卓会議」脚本:根元歳三
第10話「その手につかみとれ」脚本:根元歳三
第11話「イースタルからの招待状」脚本:根元歳三
第12話「ラグランダの杜」脚本:入江信吾
第13話「盾と自由」脚本:伊藤美智子
第14話「ワールド・フラクション」脚本:根元歳三
第15話「襲撃」脚本:大西信介
第16話「ゴブリン王の帰還」脚本:入江信吾
第17話「怠惰で臆病な姫君」脚本:大西信介
第18話「遠征軍」脚本:伊藤美智子
第19話「あの背中を追いかけて」脚本:根元歳三
第20話「契約」脚本:根元歳三
第21話「ふたりでワルツを」脚本:根元歳三
第22話「つばめとひなむく」脚本:伊藤美智子
第23話「魔法使いの弟子」脚本:入江信吾
第24話「混乱」脚本:大西信介
第25話「天秤祭」脚本:根元歳三