中村梅雀さん主演の人気シリーズ。 初の2時間もの(佐伯俊道さんとの共同脚本)。
東映芸術職からフリーになり一年目は割と順調だったのが、二年目にして早くも歯車が狂い始める。
食い詰めてシナリオ塾の講師なんかに手を出したりと迷走し、脚本家人生で最も苦しい時期だった。
そんな頃に頂いたお仕事。
当初はプロットだけでお役ご免の予定であり、次の仕事も決まらずいよいよ廃業かと焦っていたところへPから「初稿をお願いします」との電話が!
ずっとメインライターを続けていた佐伯さんが「彼なら書けますよ」と太鼓判を押して下さったのだった。
地獄で仏に逢ったよう、とはまさにこのこと。
(プロットだけで終わるのと脚本まで書かせてもらうのとではギャラが大きく違ってくる)
このおかげで食い繋ぐことができたという意味で非常に有り難い作品だった。
恩に報いるべく、自分なりに原作を現代風にアレンジして頑張ったつもりだ。
しかし間の悪いことにウラの『相棒』薫ちゃん卒業回とぶつかってしまい初の視聴率一ケタ転落、シリーズは実質これで終了となった。
『相棒』に育ててもらった身としては何とも皮肉な話であるが、後にこの時ご一緒したPからお声掛けを頂き、『釣り刑事』シリーズで再び梅雀さんと仕事をすることになろうとは。
ちなみに佐伯さんが何故私に初稿を任せようと思ったのかというと、「プロットに書いてあったダジャレが面白かったから」って(笑)。
何が身を助けるか分かったものではない。
ゲスト:国分佐智子、小野武彦、布川敏和ほか
脚本:佐伯俊道、入江信吾 演出:江崎実生