デビュー直後、2005年秋の日記を掲載。役者名等の表記は当時のままにしています。
まず視聴率の件。
やはり……ハリポタ強し。21.3%。
ごっそり持って行かれちゃいました。20時開始というのも痛い。
次いでトリビア、13.9%。
そして「第七話・波紋」は……12.7%という結果でした。先週比0.8ポイント減。
うむむ。欲を言えばもっと、もっと、も、もそっと(by井上陽水)あればなあ、と。
ハリポタは仕方ないにしても、いつもなら僅差で勝っているトリビアに及ばなかったのが残念でした。
会社でションボリしていたらプロデューサーがこう仰って下さいました。
「いや、良く健闘したと思うよ」
もっと低い数字を覚悟していたのかも知れません。
まあ、こればっかりは仕方ないですね。さ、気を取り直して。
あ、そうそう。
音尾さん効果で北海道ではいつもより3ポイントほど上昇したそうです。さすが!
※ご注意! 以下、完全にネタバレしております。本編をご覧になってからどうぞ。
役者さんについてあれこれ語ろうと思います。
レギュラーの皆さんに関しましては僕が改めて申し上げるまでもありませんので、ゲストについて。
まずは音尾琢真さん。僕と同い年。
(どうでも良いけど僕、『相棒』最年少ライターだったんだ)
彼は初日の現場がいきなりクライマックスの屋上シーンでした。
僕は呑気に見学していたわけですが、彼にしてみれば相当なプレッシャーだったでしょう。
というか、いきなりテンションを持って行けるのだろうかとこちらが心配しておりました。
杞憂でしたね。
いきなりの迫真の演技。完全に「下薗巡査」に成り切っていました。
下薗「卒論だか何だか知らないが(云々)」
ここで声が上ずっているところなんか見事でした。
池田君が万馬券を当てたのを目撃し、さらに彼が交番に600万を届けに来たインサートを挟み、いよいよあの台詞。
何のつもりだ?って思ったよ。そんなに要らない金なら俺が貰ってやるよ。捨てた金拾って何が悪い?じゃなきゃ、俺はあの金に手ェ出したりなんかしなかったよ。これでも正義のお巡りさんだからな。
「正義のお巡りさん」ってとこの自嘲気味な表情。最高です。
自らの運命を皮肉っているその屈折した感情が溢れ出ていました。
自分が書いた台詞だというのも忘れ、完全に下薗巡査の気持ちと同化してしまいました。
本気で涙ぐんじゃった。
あと、細かいですけどアレ。
前半で、池田君が届けに来た600万の拾得書類を作成している回想シーン。
池田君の名前を記入する際、ちらりと彼を見るんですね。
その時の表情がまさに「何のつもりだ?」なんですよ。
これ、あからさまにやるとバレちゃうし、普通の表情だと後で矛盾しちゃうし、
匙加減の難しいところなんですが素晴らしかったです。
これほどしっかりとホンを読み込んで下さって、脚本家冥利に尽きますわ。
多恵子おばあちゃんと結託する時の、わっるい顔もねえ。ほんっとに悪い顔。
続いて中村友也さん(池田俊太郎役)。
今回の役どころは非常に難しかったと思うんです。
自作自演をやっているわけですから、ある面では二重の演技をしなければならなかったり。
本気で怒っている池田君。演技している池田君。
ちゃんと声のトーンを微妙に変えてるんですよね。
それもわざとらしくなく、変に芝居然としていないところが良いんです。
見た目も今時の大学生って感じで。
これまたハマり役だったなあ、と。
能見達也さん(新井山宗次役)。
個人的にファンだったこともあり、嬉しかったです。
一番嬉しかったのは、取調室での自白シーン。
新井山「毎日休まず出勤して、来る日も来る日も電卓叩いて、何千万ものお金が
僕の前を通り過ぎてく。なのに、僕の給料なんて微々たるもの……」
脚本での句読点の位置はこうなってたんですが、吐き出すように一気に語って欲しいなと思ってたんです。
それがもう期待通り。感激でした。
犬飼淳治さん(古谷稔役)。
以前のゲスト紹介で「おしっこチビりそうになる」と書きましたが、
その意味がお分かり頂けたでしょうか?
出会い頭に相手をボッコボコ(笑)。しかも二度も。
ナイフみたいに尖っては触る者みな傷付けてます。
これがまためっちゃくちゃにリアルで。
あのパンチのスピードはハンパじゃないです。さらには跳び蹴り。
受け手となった↑のお二人もすごいですけどね。
能見さん、胸を圧迫されて台詞が言えなくなってるし。それがまたリアルで。
本当に暴行してるようにしか見えないので警察を呼ぼうかと思っちゃいましたよ。
さすがプロフィールに「特技・殺陣」と書くだけのことはあります。
絵沢萠子さん(梶多恵子役)。
そりゃあ同情の余地は有りませんわ、あれだけ憎たらしければ(笑)。
表の顔と裏の顔、見事に演じ分けて下さいました。
多恵子「ごめんねえ。借金まみれはあんただけじゃなかったんだねえ」
この時の表情といったらもう。
彼女のおかげで下薗巡査の切なさが増したんです。
あ、ゲストだけと言っておきながらお一人どうしても。
伊丹刑事役の川原和久さん。
取調室での「殺しちゃダメだよねえ」リピート。ここ、大好き。
僕、二度目は「殺しちゃダメだよねえ!」とエクスクラメイションマークを付けてたんです。
まさに激昂するイメージで。
ところが川原さんのあの演技。
最高でした。
感情が昂ったからって何も大声出せば良いってもんじゃないんだ、と勉強になりました。
ニセ持ち主の皆さんも良かったです。特に二番目の横山あきおさん。凄いキャリアの方です。
脚本に「しょぼくれ老人」なんて書いてたのでマズかったかなと思ってましたが、
見事にしょぼくれてました(笑)。感謝です。
いやはや、役者さんってすごいなあ。
もちろん、演出の効果もあるんですけども。
こういった本物のプロの方々が出演する作品でデビュー出来た僕は幸せ者でございます。