史上初のラグビーを題材にしたアニメ作品。
原作は講談社モーニングツーで連載中(作:雨瀬シオリ)。
どうしてこれまでラグビーものがなかったかというと、とにかく作画とキャラデザインが大変だからだろう。
1チームだけで15人もいるし、スタッフに経験者がなかなかいないのも現場ではネックとなる。
もちろん私も体育の授業でしかやったことがない。

今回はトムスの高達さんからお声掛けを頂いた。
シリーズ構成は横谷昌宏さん。
数年前にとある会合で一度会ったきりなのだが、拙作『なつやすみの巨匠』立ち上げの際、
クラウドファンディングで最高額の支援をして下さったというとっても男前な方。
普段はただの変態なのだが、そこがまたいい。良く飲みにも行った。
今回の仕事が次の『サクラクエスト』に繋がっていくわけだから、縁とは面白いものだ。

先述のように現場が大変になるからか、制作はトムスとマッドハウスが手を組むという。
そんな体制もあるのかと。ちなみに実質的な制作はマッドハウスが担っていた。
マッドハウスといえば『HUNTER×HUNTER』『はじめの一歩』『寄生獣』ですよ!
しかも監督が『寄生獣』の清水健一さんと聞き、非常にテンションが上がった。
ちなみに監督はラグビー経験者。ポジションは確かナンバーエイトだったかな。

原作ものの場合、複数のサブライターに分担させ同時進行するため、ホン作りはスムーズに進んでいく。
だが今回どういうわけか横谷さんと私の二人体制でいくことになった。
ラグビーが題材ということで手探りの部分が多かったためだろうか、ホン打ちは比較的じっくり行われた。
おかげで2クール25話中、ほぼ半分の12本を手掛けることが出来た。

さてその原作だが、オファーを頂いてから読んだところこれが抜群に面白く。
少年誌の場合はとにかく展開を早くしないとアンケートに響いてしまうわけだが、
青年誌はキャラの成長やドラマをじっくり描くことに重点を置いている。
今回のアニメ化にしても公式戦に入らないまま終わってしまうくらいだし。
しかしとにかくアツい。
あれだけのキャラ数を捌くだけでも大変だろうに、各々にドラマがある。
特に籠コーチが加わってからの展開は最高。
キャプテン赤山への言葉、「俺はお前のがむしゃらさが好きなんだ」はシビれますわ。
林Pもこのシーンがやりたくて受けたと言っていたくらいだし。
そしてあの「Xデイ」。
私もバレー部を途中で辞めた苦い経験があり、涙なくしては見られなかった。

天竺高校との練習試合後、籠さんと相手側のコーチ・二見さんとのやり取りも好きだ。
原作の雨瀬シオリさんは恐らく20代くらいの若い女性なのだが、
どうしてあんな渋いおっさんの台詞が書けるのだろう。

ところで本編のホン打ちが始まるかなり前、私はいち早くドラマCDの仕事に着手していた。
コミック最新刊の特装版として、アニメ化に先駆けて声優が出演するという触れ込みだ。
とはいえまだ声優も決まっていない段階である。何をどうすればいいのやら。
原作の編集者である講談社の竹本さんとああでもないこうでもないと話し合い、
赤山と八王子とのファーストコンタクト、エピソードゼロみたいなものにしましょう、と。
出来上がったホンに対する竹本さんの反応はかなり良好だった。
バリバリのラガーマンである彼のお墨付きなら大丈夫だろうと思った。
声優さんもまだ絵が動くところを見ていないなかでよく演じ切ってくれた。

本編の話に戻る。
ちょうど1クール目の終わり、折り返し地点の話数辺りで、このまま進めると原作に追い付いてしまうのではという問題が浮上してきた。
そこで何か一本番外編をやろうということになり、竹本さんの提案で急遽決まったのが例のドラマCDの逆輸入であった。
そこまで気に入って下さっていたとは光栄である。
こうして年明け一発目にして謎のサブタイトル「一緒に両国を目指そう」が作られたというわけだ。
声優さんにとっては同じ話をもう一度アフレコすることになるわけだが、当時よりもグレードアップしていた。
私も音で聞くドラマCDと同じことをしても仕方ないので、かなりの部分を自主的に修正した。
基本的に真面目なこの作品において異彩を放つ一本を残すことが出来て満足である。

またスタッフも遊び心が分かっていて、例えば第10話、砂浜でお姫様抱っこで走るトレーニングのくだり。
八王子が赤山を抱っこして走る場面で「赤山、手がなんか可愛い。」というト書きを入れたところ、
見事に反映されていて大爆笑だった。

イベントの朗読劇も書かせて頂いたり、色々な形で関わることが出来て楽しい仕事だった。

ALL OUT!!
第1話「今年の1年はウケるな」脚本:横谷昌宏
第2話「タックルやりてェ」脚本:入江信吾
第3話「一番大切なのは」脚本:横谷昌宏
第4話「俺、なにしたらいい?」脚本:横谷昌宏
第5話「足りないもの」脚本:入江信吾
第6話「出し切ること」脚本:横谷昌宏
第7話「全部できるようになりたい」脚本:入江信吾
第8話「玉遊び」脚本:横谷昌宏
第9話「お前たちは強くなった」脚本:横谷昌宏
第10話「ちょっとかき氷食べ過ぎて」脚本:入江信吾
第11話「センスねェんだよ」脚本:横谷昌宏
第12話「合同練習」脚本:入江信吾
第13話「一緒に両国を目指そう」脚本:入江信吾
第14話「Xデイ」脚本:横谷昌宏
第15話「チームメイト」脚本:横谷昌宏
第16話「お前らは準備してきた」脚本:横谷昌宏
第17話「夏合宿」脚本:入江信吾
第18話「学べ」脚本:入江信吾
第19話「泣いてねーよ」脚本:入江信吾
第20話「嬉しくねーのか?」脚本:入江信吾
第21話「おまじない」脚本:入江信吾
第22話「自分のシマ」脚本:入江信吾
第23話「ダチに教わったんだ」脚本:横谷昌宏
第24話「絶対戦えなかった相手」脚本:横谷昌宏
第25話「オールアウト」脚本:横谷昌宏

【キャスト】
人数が膨大なため、公式サイトをご参照下さい。嬉しいコメント付き!

【シリーズ構成】
横谷昌宏

【監督】
清水健一

【制作】
トムス・エンタテインメント×MADHOUSE