役者陣についても触れておこう。

まず主人公・津屋崎航役の林遣都。
『バッテリー』では野球、『ラブファイト』ではボクシング、『DIVE!!』では高飛び込み、『風が強く吹いている』では駅伝、何かとスポーツものに縁が深い。
今作も例に漏れず、パラグライダーというスカイスポーツである。
美少年風の顔立ちながら鍛え上げられた肉体で難しいアクションもこなしてしまうのは見事。
貴重な役者である。
繊細な演技が要求される今回の役もきっちり自分のものにして現場に臨む様はまさに主役の風格。
(役作りに関する彼のコメントはDVD特典メイキングに収録)
彼は意外と悪役が似合っている気もする。次はそういう形で出会いたい。

ヒロイン・柳沢ルイ役の山下リオ。
視覚障害者という難役に挑むにあたり、事前にしっかり役作りをしてきただけあって素晴らしい演技だった。
チャン・イーモウ監督『至福のとき』のヒロインに比肩する。
とにかく地アタマがいいのだろう、私のホンの細かいニュアンスも深く読み込んでくれていた。
完パケを初めて見た時「あ、ルイがいる」と思ったほどだ。
気が強くわがままで、でもニカッと笑った顔が無邪気で憎めなくて。
彼女ほど私のイメージを体現してくれた役者は他にいない。

主人公の親友・裕哉役の太賀。
彼の演技力を評価する人は多い。テレビドラマ『15歳の志願兵』も素晴らしかった。
青春恋愛もので主人公の親友役といえばいかにも脇役で引き立て役というイメージだが、彼はそんなポジションにおいても独特の存在感を放ってくれた。
主人公の都合ではなくちゃんと独自の意思で動き、その世界に生きている。
実は要所要所で物語を動かすきっかけを作っているのは彼なのだ。
ごく自然体でその役割を担ってくれた彼の功績は大きい。
また一緒に仕事したい役者の一人である。

ルイの兄・誠一郎役の青木崇高。
長身で強面。航と裕哉の前に立ちはだかる相手として見た目からまさに適役。
同じ頃『ちりとてちん』で日本中のお茶の間でお馴染みになっていた彼が出演してくれたのは僥倖。
彼の演技には独特の匂いとリズムがあり、いいインパクトを作品に与えてくれた。
父親が出て行ったことでルイをどうにかしなければと気負っている様も滲み出ている。

さて、こうして映画は無事完成、地元石川での先行上映を皮切りに全国公開の運びとなった。
私の故郷福岡でも上映され、錦を飾ることが出来た。

金賞受賞

さらに第43回ヒューストン国際映画祭にて金賞受賞。
幻の上昇気流を目指した航のように、『RISE UP』はまさに高く海外にまで羽ばたいていったのだった。

ちょっと長いが詳細はこちら→ヒューストン滞在記

その後の私の仕事は順調で、映画デビューという実績を得たことであの映画版『白夜行』へと繋がっていく。
監督の方も、私があるプロデューサーと顔を繋いだことでさらなる大作映画を手掛けることに。
山田悠介原作『スイッチを押すとき』である。

こうして私たちの人生もまたこの映画同様、ライズアップしたのだった。
ある意味、今の私の原点でもある。

監督とは「また必ず、何か一緒に作りましょう!」と言っている。
遠くない将来、それは実現しそうだ。いや、実現させてみせる。

キャスト:林遣都、山下リオ、太賀、青木崇高、嶋尾 康史、中林 大樹

脚本:入江信吾 監督:中島良